かりかりのトースト

りっかりに焼いたトーストを食べたい。ジャムを塗るもよし、ぜいたくにバターを塗り込んでかぶりつくもよし、オリーブオイルににんにくとクレイジーソルトを混ぜ込んだものを載せて焼いてもよし、焼きたてを待ちきれずプレーンで食べるもよし。とにかく私は、トーストを食べたいのだ。

 

私は普段食パンを買う習慣が無くて、それは主に<朝ごはん>の時間にちゃんと起きられないというのが大きいのだが、他にも<賞味期限が意外と短い>ということもある。一人暮らしで5枚切りを買うと、ふつう食べきるのに5日かかると思うのだが賞味期限は2.3日ということが多く、買う前からげんなりしてしまうのだ。

 

大抵、トーストを食べるときは紅茶を淹れる。とはいえ普段から私はコーヒーより紅茶派なのだが、トーストの時は絶対なのである。トーストの軽やかさに、コーヒーはいささか重たい。冷感パッドの布団に、羽毛ぶとんをかけるようなものだと思う。冷感パッドの布団には、お腹だけ覆うことのできるブランケット、すなわちトーストで言うところの紅茶で十分なのだ。

 

ラピュタパンというものがある。食パンのふちをマヨネーズで囲み、卵を落とす。焼けば軽く火が通った卵と、焼けたマヨネーズがとてもジューシーで美味しい。作る前に、一旦電子レンジで軽く卵に火を通そうか、でも黄身が爆発するかもしれない、割ってしまうと台無しだし、などと考えながら結局トースターに突っ込むだけである。そして大抵うまくいく。

 

そういえば母は、食事におけるバランスが少しずれているところのある人だった。いや、今でもあるのだが、朝食が食パンの時に平気でお味噌汁を出すような、しかも紅茶も淹れてくれて、水分で通学中お手洗いに行きたくてたまらなくなってしまうようなことをさせるのだ。

 

私はそういう点父にとても似ていて、食パンには軽いサラダ、コンソメ系のスープ、紅茶と朝食を揃えているところを見るととても納得する。と同時に、なぜここまで父と母がうまくやってこれたのか、少し疑問にも思ってしまう。

 

それは例えば、食パンとお味噌汁が同じ朝食の中で仲良くタッグを組むような、そんなことなのかもしれない。

 

今読んでいる本:総理の夫/原田マハ

今日:辞めたアルバイト先の前を俯いて通った