【ネタバレする】キングスマン

なんて美しい映画だろうか。鍛え上げられた若さ溢れる紳士、シワの入り方さえも品のある老紳士、真顔でバカスカ銃を撃っていく。格好いいに決まっている。

 

キングスマン1作目を観たのは、年末だったか年始だったか、とにかく、実家にて家族全員で観た時だった。私は帰省する前必ず、バイト先で何か借りてきてほしいDVDやCDが無いか家族LINEにて問いかける。キングスマンは、姉からの強い要望だった。

 

私は映画となるとラブストーリーやヒューマンものに逃げてしまって、アクションはてっきり苦手だと手に取ろうとしたことも無かった。<有り得ないこと>を見せられても入り込めないから、とハウルの動く城さえ見ていないくらいだ(見ていない故に、ハウルが本当に有り得ないことだらけなのかは分からない)。

 

家族で見たときは、皆うっすら涙を滲ませ、ラストに笑い、照れ臭いながらも感想を語り合ったような記憶がある。面白かったー!そう強く印象に残っていて、コリン・ファース、やっぱり素敵…!と思っていた。

 

待望の、11日ぶりの休みであった今日、よし!キングスマン観に行こう!と決意し、映画館の会員更新をした特典で1,000円で入場した。この映画館は金曜日、会員は1,000円で映画が観られる。扱っていない作品があったりもするが、出不精な私には丁度いい、有難い存在である。

 

平日の昼間なのに意外と人が多いな…と感じつつ席に着いた。映画泥棒流れないな…なんて思いつつコーラを飲んでいると、懐かしいキングスマンの文字が。前作のストーリーは結構忘れてしまっていたが、観ていく内にどんどんのめり込む自分が分かった。

 

なんと言ってもハリーが記憶を失っていた時のこと。エグジーとハリーでは必ず通じると思われたやりとりにも、壁を作ったように応じない。それどころか蝶に夢中になった彼は少し頑なになっているようにも思える。

 

まるで、親が認知症になってしまったようだと思った。

 

最近の小説や漫画には現実的な描写が多くて、世代からしてもいつ親がボケてしまうかは分からないなと陰鬱な気持ちになることもあった。まるで子供のようにわがままを言ったり、小さくなって震えるようなことがあったら…と自分の親を重ねるだけでやりきれなくなってしまう。

 

私にとってあのハリーは、そのような姿と重なって見えた。かつて切れ者だった人が、全く話も通じなくなり心を閉ざす姿は何とも言えず苦しい。

 

だからこそ彼がまた例のバーで<いつもの>流れを見せてくれた時は、とにかく涙が止まらなかった。良かった。帰ってきてくれた。あー、、、良かった。ハンカチ忘れた。

 

私は大学に入ってすぐ観に行った「アナと雪の女王」にもハンカチを忘れ、同行した同期にハンカチを借りた気がしなくもないな、と思い出した。

 

ハンカチを持つのは女性に貸すためさ、と言うロバート・デ・ニーロも、「マナーが人を作る」と言うコリン・ファースも、どちらもたまらなく格好いい。

 

両親に観せて、2人を秒でアガらせたいなと思った。

 

今日:良い休日でした、とっても

目標:お金を漠然と使わない