いなくなった爪切り

我が家から爪切りが消えた。といっても、そこまで大切な爪切りでは無い。なんせ、100円ショップで買った、すこし安っぽいものだからだ。

 

爪切りというのは何かと同じようなもので、普段は存在を忘れられ、無関心の扱いを受ける。爪が伸びてきたとき、その瞬間のみ爪切りはいそいそと戸棚から引っ張り出され、ぱちん、ぱちんと軽快に爪を切り落とすのだ。

 

私は最近自分でマニキュアを塗っていて、それは趣味というにもおこがましいくらいの、適当なものなのだが、これをしている時は、爪切りは普段より活躍する。

 

より爪がきれいに見えるよう、爪を整えマニキュアを塗る。マニキュアを塗って数日後、伸びてきたりアルバイト作業の結果先のほうが剥がれてきたりする。こういう時、すぐに塗り直すのは面倒なので爪を切るという応急処置をする。

 

今私の爪はまさに先が剥がれていて、非常にお見苦しい。そう、爪切りがここ3日ほどずっと見つからないからだ。塗り直すのは面倒だし…というかそもそもの爪が結構伸びてるから切りたいし…でも無いし…のループである。

 

いなくなった爪切りはきっと、カラスに連れていかれたのだろう。やつらは輝くものが好きだから。カラスは自らの爪で爪切りを包み込み、運ぶ途中なにかの弾みで爪切りに爪を挟んでしまう。

 

イテッ!そう思った時には爪切りはもう眼下に落ちている。仕方ない、ゴミでも漁るかとお気に入りの荒れたゴミ捨て場に行くと、なにかがおかしい。いつもネットをよけたり、袋をちぎっていた爪が無いからだ。

 

なんてことだ。爪が無いカラスに意味はない。カァ、カァ、爪よ伸びてくれよ、カァ、カァ。

 

こうして私の爪切りにより、街の衛生がひとつ保たれた。

 

私の衛生は乱れたままだ。

 

今日のご飯:ペスカトーレ(2日連続)

悲しいこと:豆乳が買えなかったこと。でも飲むヨーグルトを買って結果オーライ