工事現場のインスタ映え
数日間、沖縄に旅行していた。それはそれは、とても楽しい日々だった。ちょっと立ち直れないくらいには、沖縄に執着している自分がいる。
空港からのバスに乗り、よく冷えた、馴染みの地域に戻ってきた。いつものうどん屋さん、セブンイレブン、いつものモノレール。違う。ソーキそば、上階のホテルでアホ高校生が枕投げをしているファミマ、ゆいレールじゃないとだめだ。
そんなことを思いながら、友人たちとうどん屋さんに向かっていた。すっかり暗く、モノレールの音がよく響く夜に、黙々と作業をしている工事現場があった。
パシャ、パシャ。よく聞く、iPhoneのカメラ音が響いた。
美ら海水族館のイルカショーならまだしも、今シャッターを切るようなものがあるかと不思議に思いふと目を向けた。そこに飛び込んできたのは、iPhoneを構える工事現場のおじさんだった。
「おれ、最近子供に何の仕事しとるんかっちよう聞かれるんよ。アイツには好きな仕事してほしいけど、興味持ってくれるのは嬉しくないわけやないけー、どう言おうかっち悩んどってさ」
『何悩むことがあるんか、俺が写真撮っちゃーよ。ほれ、早よ作業しい』
「…!!!おう、行ってくる!(ウィーン)」
箱のようなものに乗り、電線近くまで高く上げられた男性。頭には作業灯がつけられて、ライトはばっちりだ。常人には触り得ぬ部分を、使命感に溢れた表情で作業する男性。彼らにはきっと、そんなやりとりがあったんじゃないかと思う。
派手にペイントされた壁、透き通る海にかかる長い長い橋、世界遺産と写る自分。「映える」とされるものはたくさんあるが、意外とこういう「身近で気を留めないもの」を切り抜いた人が、ぽっと光るんじゃあないかと思う。
LINEのアイコンを壁画と写る自分に変えたばかりの私が言うのだから間違いない。
みなさまへ:たいへんサボりましたがまたよろしくお願いします
今日聴いた曲:オジー自慢のオリオンビール/BEGIN